解決実績・事例

社内検査不正が発覚したメーカーの不正調査事例

1 事案の概要

 クライアントは、自動車部品を製造する会社であったところ、自動車部品の一部について、出荷時に行われる社内検査において定められた検査を行っていない、又は、定められた検査方法を守っていない、検査自体は行っているが検査基準について各工場独自で緩和しており基準を満たしていないといった不正が行われていました。

 内部告発によって不正を把握したクライアント経営陣は、直ちに、社外取締役・監査役を中心とした社内調査委員会を組成し、弊所弁護士も同委員会のメンバーとして調査にあたることになりました。

2 解決の概要

  調査委員会では、まず、社内の品質保証に係る体制・制度を確認し、ヒアリング対象者を幅広く選定した上で、不正が疑われた工場へ赴き、検査実施状況を直接確認しながら、検査員だけではなく、工場のライン担当者から工場長等の役職者まで広範囲にヒアリングを行い、実際の検査実施状況、各人の意識、問題点の所在について詳細に確認をしていきました。

 その結果、クライアントにおいては、まず、検査基準の必要性について(なぜその検査をするのか、なぜその基準なのか等)について周知・徹底されていなかったこと、そもそも検査手法が確立されておらず、マニュアルが不十分であったり、又は、マニュアルはあるものの実態にそぐわなくなってしまったために守られておらず、マニュアル・ルールの軽視が常態化してしまっているといった問題点が発覚しました。これらは、企業風土に関わる根深い問題といえました。

 これらの調査を経る中で、共同して調査に携わったコンプライアンスに係る社内の担当者(役員・部長)が問題点を深く理解し、今後の会社の在り方について積極的な提言を行うようになっていきました。また、調査委員会が調査結果をまとめた報告書を経営陣に提出したところ、経営陣もまた、企業風土の改革・改善の必要性を深く認識し、報告書が新規施策立案に少なからず影響を与えました。企業風土の改革は一朝一夕にはならないところですが、クライアントは改革に向けて力強い一方を踏み出すことができました。

Category:不正調査

2021.08.30

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